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ホーム>「20代でわが道築く!」>富島 修司
デザイナー
Shuji Tomishima
「オリジナルの人生だからこそ楽しい」。そう語る富島さんは、現代の価値あるモノに宣戦布告するデザイナーだ。ドメスティックなモチーフをも取り入れたジュエリーは、コーディネートを問わず自身のアイデンティティをチラ見せする遊び心がある。
そんな富島さんは、1994年、東京芸術大学デザイン科卒業。在学中に新人クリエーターの登竜門、朝日広告賞大賞など数々の賞を受賞。
今、彫刻家 翁拓史氏とデザインユニットRGB結成し、新たな創作に力を入れている。
東京芸術大学デザイン科在学中に新人クリエーターの登竜門、朝日広告賞大賞など数々の賞を受賞。
「大学は、自分の技術やクリエイトな発想を追求していく環境でした。就職率とかに興味のない教授陣ばかりで…。だからこそ自由な表現を追及できましたね」。
そもそも芸大を目指したきっかけは…。
「小さい頃から絵を描くことが好きで、車図鑑や飛行機図鑑を見てはノートや画用紙に写し描いていましたね。小学生や中学生の時には市や県から度々表彰されました。でも、それが恥ずかしくて…。だから、高校では音楽を選択しました。絵を描くとまた表彰されるでしょ(笑)。福岡出身で、九州男児は美術が好きとは言えなかったですよ。その頃はバンド活動に夢中になりました。でも、進路を決める時にやっぱり自分が一番好きな絵の世界に行こう!って思ったんです。自分の人生ですから。それで目指すなら、東京の一番いい学校だと。二浪して東京芸術大学に合格しました」。
アカデミックな教育を受けてこられた富島さんは、現在、ジュエリーや身近なモノを中心に独創的な造形美でデザインしている。そんな富島さんが当時、意外にもエリート思考だった。
「デザイン科に入ったのも、お洒落で経済力があるデザイナーに憧れていたからです。漠然と、大学→大手広告業界→エリートという図式があって(笑)。昔から、保守的だったんですよ。やっぱり芸術でも利潤性が高くないと…とね」。
そして、富島さんは順風満帆なエリート階段を登る。朝日広告賞受賞だ。しかし、それが、富島さんの運命を変えるきっかけとなる。
「大学では、色んな表現方法を学ぶんですが、その中で印刷媒体の原始的な技法を学びたいと思って版画を専門に勉強しました。在学中に、その版画で朝日広告賞を受賞したんです。それは自身の道を決める上で大きかったですね。自分がつくったもので何か製品をつくりたい、つくれるという確信を持つきっかけになりました」。
その自信が、数々の大手広告会社にも目もくれず、自身の表現を追及する道を歩むことになった。そして、今の環境がつくられたのは、ある画商の一言だ。
「作家になることを志し個展を何度かしていた時のこと。ある画廊で画商の一人から、“死んでから有名になればいいじゃない”と言われたんです。その言葉や考え方に凄く違和感を持って…画廊業界で表現することは、自分には合わないと思いましたね。自分は経済=今生きる人と繋がる展開を考えていましたから」。
現在、彫刻家 翁 拓史氏とデザインユニットRGBを結成し、数々の企業とコラボ商品を企画、制作。例えば、光岡自動車のオロチプロジェクトや和を追求するアパレルブランド義志など。今ようやく、理想と現実がクロスし、夢の実現に一歩一歩近づきつつある。
「オリジナルの人生だからこそ楽しい」。
そう語る富島さんがデザインしたジュエリーは、幼い頃に遊んだおもちゃのパーツのようなレーサーやゴリラ、仏陀の顔がリアルに光る。
「ただ売れるだけならつまらないでしょ。面白いモノ、誰もが見たことのないモノをつくりたいんです。自由自在に、頭が前後左右360度好きな方向に動く仕組みは、子供の頃にプラモデルで遊んだ感覚でつくりました。仏陀をモチーフに選んだのは、価値あるものに変わるモノがつくりたかったから。ダイヤモンドとか、少し前に流行ったドクロのデザインとか…。ドクロが仏陀でもいいでしょ。みんなが同じものに価値を置く。そのことに疑問を感じているんです」。
富島さんは“現代の価値あるモノに宣戦布告する”精神で、自身の創作意欲のボルテージを上げている。
「商品のことを考えている時が一番楽しい。企画~制作の過程がワクワクします。ジュエリーやバッグなどの身近なものは、世の中の人が入りやすいデザインの世界だと思うんです。みんなが好きだ嫌いだと手にするデザイン。世の中の人の美意識。その先の意識に繋がるものづくりができるデザイナーになりたいですね。まだまだ表現方法も模索中です。ジュエリーという手に取りやすいカタチもひとつの過程だと思っています」。
日本の文化や精神、遊びをチクリと魅せるカタチ。「王道でないことをしたいですね」と云う富島さんは日々、自身の立ち位置から世の中を洞察し、そこから得たインスピレーションとみんなを驚かせたいという心でデザインしている。
RGBの名は光の三原則=赤・緑・青=光のように如何様にも輝くモノをつくりたいという思いからだそうだ。“稀少”故の価値を追及し、世知辛い世の中だからこそ忘れてしまったマインドをデザインに魂現する。これからどんなモノたちが生まれ輝くのだろう…。